電子委任状と認定制度
電子委任状とは
組織代表者から委任された代理権内容を社員名義の電子証明書に格納すること等により電子的な委任状とし、従来行っていた書面による委任状の作成や承認手順を簡略化する仕組みです。
これまで企業間で電子契約を締結する場合には、組織代表者自ら電子署名を行うことが前提とされていましたが、実際に代表者がすべての契約書に電子署名することは現実的ではありません。また、代表者名義の電子証明書の管理の煩雑さなどから電子化が敬遠されてきました。
これらの課題を解決し、電子委任状の利用を促進するため2017年に電子委任状の普及の促進に関する法律(電子委任状法)が公布、翌年に施行されました。同法に基づき認定された電子委任状取扱業者によって発行された電子委任状の活用により、企業や行政機関が安心して電子化による業務の効率化が行われることが期待されています。
電子委任状法とは
目的として、「電子委任状の普及を促進するための基本的な指針について定めるとともに、電子委任状取扱業務の認定の制度を設けること等により、電子契約の推進を通じて電子商取引その他の高度情報通信ネットワークを利用した経済活動の促進を図る」と記載されています。
電子委任状法および同法施行規則に、次の事項等が規定されています。
- 電子委任状および関連用語の定義
- 基本指針
- 電子委任状取扱業務に関する認定制度
- 国等の責務
電子委任状の普及を促進するための基本的な指針(基本的な指針)には、電子委任状の記録事項として以下が挙げられています。
- 委任者に係る事項
- 受任者に係る事項
- 代理権、代理権の制限、委任期間その他の委任内容に係る事項
- その他委任者または電子委任状取扱事業者が必要と認める事項
また、基本的な指針において電子委任状の方式として以下が挙げられています。
- 委任者記録ファイル方式
委任者が、電子委任状に記録すべき事項を記録した電磁的記録を自ら作成する方式 - 電子証明書方式
電子委任状取扱事業者が、委任者の委託を受けて、電子委任状に記録すべき事項を受任者の利用する電子証明書に記録する方式 - 取扱事業者記録ファイル方式
電子委任状取扱事業者が、委任者の委託を受けて、電子委任状に記録すべき事項を受任者の利用する電子証明書とは別の電磁的記録に記録する方式
各方式の概要図は以下の通りです。(電子委任状の普及の促進するための基本的な指針解説より引用)
- 委任者記録ファイル方式の概要
- 電子証明書方式の概要
- 取扱事業者記録ファイル方式の概要
認定制度について
電子委任状法により認定を受けた事業者を認定電子委任状取扱事業者といいます。また、認定電子委任状取扱事業者が発行する電子委任状は特定電子委任状といいます。
認定電子委任状取扱事業者は、電子委任状法や同法施行規則、基本的な指針に基づいて法人の代表者の意思を確認し、電子委任状を作成しています。電子委任状の受領者は、電子委任状の記載事項を確認することにより契約等の手続の相手方がその手続を行う権限を有するかどうかを確認することができます。
認定電子委任状取扱事業者は以下から確認可能です。
認定電子委任状取扱事業者(デジタル庁)
- 電子委任状に対応した政府のシステム
- 国税電子申告・納税システム
- 地方税ポータルシステム
- 調達ポータル、政府電子調達(GEPS)